この論について|見合いのあとで
主張
戦前の日本は見合い結婚が約7割でした。1960年代末に恋愛結婚と比率が逆転し、 いま見合いは数%しかありません。60年で、パートナーの成立が 割り当て制から市場に変わったということです。
誰もこの移行を設計していません。そして見合いがやっていた仕事 ——自分では選び合わない人同士を接続する——の代替は、作られませんでした。 探索と選別の費用は当事者に移り、空白は月額課金の民間サービスが埋めました。
この条件の下でうまくいっていないのは、制度設計の帰結です。 サイト名がこれである理由もそこにあります。扱っているのは、見合いのあとの話です。
この論が立っている数字
国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査」(2021年)より。
- 交際している異性がいない未婚者 — 男性 72.2% / 女性 64.2%
- 交際を望まない未婚者 — 男性 33.5% / 女性 34.1%
- 交際経験なし(20歳以上・未婚) — 男性 約40% / 女性 約30%
3人に1人が自分から降りているなら、「あなたが恋愛に失敗している」という記述は 3分の1を数え間違えています。動いたのは個人の能力ではなく規範のほうです。
批判の対象
制度とインセンティブです。人ではありません。
見合いの仲介者は成立で報酬を得ていました。月額課金のサービスは利用期間で 収益を得ます。向きが逆です。これは意図の問題ではなく構造の問題として書けますし、 誰かを敵に置かずに書けます。
書かないこと
- 出典のない一般化 — 「今の女は」「最近の若者は」で始まる文を1つ書いた時点で、 数字で支えているこの論は全部崩れます。だから書きません
- 単一原因の断定 — アプリのせいだ、経済のせいだ、という話にはしません。 調査データが示すのは相関までで、因果を1本に絞れる根拠はありません
- モテるための技術 — 「うまくやれば解決する」は、この論の前提と矛盾します
- マッチングアプリの広告 — 消耗を数えろと書いた直後に同じものを売るのは、読者に逆の行動を勧めることです。 収益より整合性を取ります
- 読者を見下した書き方 — 「愚民が騒いでいるのを高いところから解説する」に読めた時点で、 冷静な第三者という立場は成立しません。参加するより悪いと思っています
逆に、書くもの
下世話な話題を扱います。 ご祝儀が正直きつい、あれはマウンティングだ、デート代は誰が払うのか。 当初は「設計の問題として読み替えられる論争だけ」と限定していましたが、 それは話題で絞るルールで、間違いでした。
このサイトを支えているのは話題の上品さではなく扱い方です。そして論の部分は 検索需要がほとんどありません。話題まで絞ったら、読む人のいない場所だけが残ります。 それではこの分野を扱っている意味がない。
固定するのは1点だけです。出発点は個別の出来事でいいが、着地は仕組みにする。 結論が「誰が悪い」で終わったら、その記事は失敗です。
構成
- I 論 — サイトの背骨。市場化・データ・コスト
- II 時評 — 世間で燃えている話題に同じ方法を当てる。 題材は下世話でも構いませんが、着地は必ず仕組みにします
- III 実務 — 降りた先に何を置くか。一人で行くための段取り
このサイトの前身について
このドメインは以前「Modern Gentleman - 大人の男の恋愛学」という名前で、 努力すればモテるという前提の記事を書いていました。 デートの服装、メッセージの返信率、女性がチェックしている清潔感、モテる趣味。
2026年7月、その22本を全部破棄しました。 カテゴリーを付け替えて残そうとしたのですが、無理でした。 中身が例外なく「女性からどう評価されるか」を軸に書かれていて、 評価される前提から降りる話をしているサイトと同じ場所には置けません。 読者にとっても、隣に「モテる趣味おすすめ5選」がある批評は信用できないはずです。
削除したURLは301で現行のセクションに転送しています。 ドメインを変えていないのは、インデックスと被リンクを捨てないためです。 サイト名とドメインが一致していないのは承知の上です。
書いている人
シンジ。日々の分は Threads( @shiniji_htr )に書いています。記事より短く、遠慮がありません。
収益
アフィリエイト広告で運営しています。リンク経由の利用で当サイトが報酬を 受け取ることがありますが、読者の支払額が増えることはありません。 扱うのは実務セクションに関係するもの(一人旅の宿など)に限っています。
出典: 国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査(2021年)」、および見合い結婚・恋愛結婚の推移に関する同調査の各回集計。