「モテない男の特徴」を何度読んでも答えが出ない理由 — 分布を性格診断にしない
「モテない男の特徴」と検索すると、清潔感、会話、自信、服装、気遣いといった項目が並びます。
それぞれが役に立たないとは言いません。自分の行動を点検するチェックリストにはなります。
ただし、チェックリストに当てはまったことと、それが恋愛が成立しない原因であることは別です。
ここを一緒にすると、分布の問題が性格診断に変わります。
「特徴」は原因と結果を区別しない
たとえば「自信がない」。
交際がうまくいかないから自信を失ったのか、自信がないからうまくいかないのか。それとも別の条件が両方に影響しているのか。
特徴リストだけでは区別できません。
「服に無頓着」「会話が苦手」も同じです。観察できる特徴を並べることはできても、因果の向きまでは分からない。
それなのに「特徴」という形式にすると、原因まで本人の中にあるように見えます。
分布を見ると、個人だけでは説明しにくい
国立社会保障・人口問題研究所の第16回出生動向基本調査では、未婚男性の72.2%に交際相手がいません。
さらに、交際を望まない未婚男性は33.5%、女性は34.1%です。
20歳以上の未婚男性では、交際経験がない人も約4割います。
この数字だけで「制度が原因だ」と断定することもできません。ただ、少なくとも珍しい個人の欠陥だけで説明するには人数が多すぎる。
「あなたにはこの特徴があるから」という説明を採用する前に、そもそもどのくらいの人が同じ状態にいるかを見る必要があります。
特徴リストが消してしまう四つの条件
1. 出会いの経路
職場、学校、友人紹介、見合い、アプリでは、相手と接続する仕組みが違います。
2. 選別の回数
アプリでは写真、プロフィール、メッセージ、初対面と段階ごとに選別があります。
3. 時間と費用
同じ人でも、使える時間や住んでいる場所によって試行回数は変わります。
4. そもそも望んでいるか
交際を望まない人まで「モテない」に入れると、本人が参加していない競争の成績を付けることになります。
個人の改善を否定する話ではない
髪を整える。服を洗う。相手の話を聞く。
それで会いやすくなることはあります。
ここで否定しているのは改善ではなく、改善項目をそのまま原因説明にすることです。
個人が変えられるものと、個人では変えにくい市場の条件は分けたほうがいい。
全部を自己責任にすると、改善しても結果が出なかったとき、次に残る説明が「もっと自分が悪い」しかなくなります。
「特徴」ではなく、止まっている場所を見る
自分の状況を見るなら、人格ではなく過程に分けます。
- そもそも出会いがない
- 接点はあるが会うまで進まない
- 会えるが続かない
- 続いても交際を望んでいない
この4つは同じ問題ではありません。
「モテない男」という一語にまとめるより、どこで止まっているかを分けたほうが、変えられるものも、変えなくていいものも見えます。
結論
「モテない男の特徴」は、行動の棚卸しには使えます。
でも、個人の特徴リストだけで、恋愛が成立しない理由を説明することはできません。
分布、出会いの仕組み、選別の回数、本人の意思。その条件を先に置いてから、最後に自分で変えられる項目を見る。
順番を逆にしないことが、この言葉に飲まれないための最低限の線引きです。
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出典: 国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査(2021年)」。本文の割合は同調査の概要・結果表に基づく。