降りるのは合理的な選択か — 3分の1が降りている事実から考える
未婚男性の33.5%、未婚女性の**34.1%**が、交際を望まないと答えています(第16回出生動向基本調査)。
この数字を「負け惜しみ」と読むか「選択」と読むかで、次にやることが変わります。ここでは選択として読みます。理由も書きます。
負け惜しみ説が成立しない理由
まず、なぜ選択として読むのか。
男女でほぼ同じ数字だからです。33.5%と34.1%。もしこれが「モテない男の強がり」なら、男女で対称になる理由がありません。同じ規模で両側に起きている現象は、片側の心理で説明できない。
そして3分の1という規模は、例外ではなく分布の一部です。これだけの人数が同じ方向に動いているとき、原因を個人の性格に置くのは説明として弱い。制度が60年で入れ替わったという前提を置いたほうが筋が通ります。
降りる判断の条件
とはいえ「みんな降りてるから降りていい」は論として粗い。判断の条件を具体的に置きます。
降りる判断は、数えたあとにする。
数えるものは3つです。
| 直近3ヶ月 | |
|---|---|
| 金 | いくら払ったか |
| 時間 | 何時間使ったか |
| 神経 | 何日ぶん消耗したか |
| 戻ってきたもの | ? |
最後の行が書けないなら、割に合っていない取引を続けている状態です。それを止めることは、一般にはただの判断です。逃げではありません。
逆に、数えずに続けているほうが判断を放棄している状態に近い。この点は消耗を数える回で詳しく扱っています。
全体で降りない
ここが実務的に一番重要です。
「もう恋愛はしない」と全体で降りると、戻るときに困ります。 半年後に状況が変わっても、何が嫌だったのかの記録が残っていないので、再開の判断材料がない。
だから降りる前に切り分けます。
- 全部が嫌なのか
- 特定の場面だけが嫌なのか
後者であることのほうが多いです。よくある内訳はこれです。
アプリが嫌。 選別の回数が構造的に多いので、消耗が大きい。ならアプリを閉じればよく、恋愛全体を降りる必要はない。
金の出し方が嫌。 奢る前提で始めた関係は途中から変えにくい。なら最初から割り勘か低予算の場を選ぶ形にすれば、恨みを持たずに済みます。
初対面が嫌。 頻度を落とせばいい。
比較されるのが嫌。 これは相手側の振る舞いなので、こちらの努力で変わる部分が少ない。
切り分けが済んでいれば、降りるのは部分的な撤退になります。全面撤退よりずっと戻りやすい。
降りた先に何を置くか
そして本題です。降りるだけだと、空いた時間に何も入らなくて余計にきつくなります。
「恋愛をやめた」だけの状態は、恋愛をしている状態より楽とは限りません。予定が空くだけなので。
だから先に置くものがあります。一人で出かける技術です。
精神論ではなく段取りの話です。
- 一人カラオケは平日昼なら30分100〜300円、個室なので他人の視線が存在しない
- ひとり飲みは立ち飲みなら30分で切り上げても失礼にならない
- 一人焼肉はカウンターのある店を選ぶだけで気まずさが消える
- 一人旅は宿の検索を最初から1名で絞れば探索が半分になる
難易度の順はこの並びです。ヒトカラから始めるのが一番安く、失敗の余地もありません。
寂しさと不便を分ける
ここまでやると、たいてい分かることがあります。
寂しさだと思っていたものの大半は、「誰かがいないと予定が成立しない」という不便だった。
寂しさと不便は別の問題です。不便は段取りで消えます。寂しさは消えないかもしれません。
だから順番としては、まず不便を消して、それでも寂しさが残るかを見る。 混ざったまま「寂しいから恋愛が必要だ」と判断すると、必要かどうかの検証をしていないことになります。
結論
3分の1が降りている状況で、降りることは異常ではありません。ただし。
数えてから降りる。全体ではなく部分で降りる。降りた先に段取りを置く。
この3つを踏めば、降りるのは合理的な選択になります。踏まないと、ただ何もない時間が増えるだけです。
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出典: 国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査(2021年)」。
よくある質問
- 恋愛から降りるのは逃げですか?
- 状況によります。ただし逃げかどうかを判定する前に、いま払っているコストと戻ってきているものを数える必要があります。割に合っていない取引を止めることは、一般にはただの判断です。数えずに続けることのほうが、判断を放棄している状態に近い。
- 降りたら後戻りできないのではないですか?
- 何が嫌だったのかを特定しておけば戻れます。困るのは「もう恋愛はしない」と全体で降りたときで、半年後に状況が変わっても再開の判断材料が残りません。アプリが嫌なのか初対面が嫌なのか金の出し方が嫌なのか、切り分けておくことが実質的な保険になります。
- 3人に1人が降りているというのは本当ですか?
- 2021年の第16回出生動向基本調査で、交際を望まないと答えた未婚者は男性33.5%、女性34.1%です。男女でほぼ同じ水準であることが重要で、片側の心理では説明できない規模の変化が起きています。
- 降りた先には何を置くべきですか?
- 一人で出かける段取りです。降りるだけだと空いた時間に何も入らず、かえってきつくなります。一人カラオケは平日昼なら1,000円以下、立ち飲みは30分で切り上げても失礼にならない。具体的な手順の話であって、精神論ではありません。
- 寂しさはどうすればいいのですか?
- 寂しさと不便は別の問題です。一人で出かける技術があると、寂しさだと思っていたものの多くが「誰かがいないと予定が成立しない」という不便だったとわかります。まず不便を消して、それでも残るかを見るのが順番として正確です。